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映画「ハリエット」の公開はいつ?あらすじやキャスト情報も

アメリカの黒人の活動家と聞いて、日本人がまず思い浮かべるのはマーチン・ルーサー・キング牧師かも知れません。しかし、アメリカの黒人解放運動の歴史においてはもう一人、キング牧師よりも100年ほど前に生まれた、ハリエット・タブマンという女性がいたのをご存知でしょうか。

ハリエット・タブマンの生涯を描いた映画「ハリエット」は、日本では2020年3月27日に公開予定でした。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大により、公開が延期されています。

2020年アカデミー賞2部門にノミネートされた映画「ハリエット」の、詳しい内容やキャスト情報などを紹介します。

アニー
アニー
ハリエットは、黒人で初めてアメリカの20ドル紙幣の顔として採用された人なんですって。
クリス
クリス
この映画、アメリカでは去年の秋に既に公開されて、かなりヒットしたようだよ。2019年のトロント国際映画祭にも出品されたみたいだね。

「ハリエット」の公開日

「ハリエット」が全米で公開されたのは、2019年の11月1日でした。日本での公開予定は2020年3月27日でしたが、新型コロナウイルスの影響により新しい公開日は2020年6月5日となりました。

アメリカでは公開されてすぐ、週末興行収入ランキング初登場4位となった話題作です。人種差別問題が世界で話題となる中、今一番観ておくべき映画ですね。

「ハリエット」のあらすじと見どころ

1849年アメリカ、メリーランド州。ブローダス農場で働く奴隷の「ミンティ」ことアラミンタ・ロスは、自由黒人(奴隷の身分から解放された黒人)のジョン・タブマンと結婚します。

ミンティの姉二人は既に、南部へと売られていました。ミンティの父は、妻のハリエットが45歳になった時には、家族を奴隷の身分から解放するという契約をブローダスの曾祖母と交わしていました。

しかしブローダスはその約束を反故にします。落胆するミンティに、ブローダスの息子、ギデオンは「神は奴隷の祈りなど聞かない」と嘲笑しますが、その後、ブローダスは急死します。

ギデオンは借金のかたにミンティを売り飛ばそうと企みますが、それを知ったミンティは、ジョンと後で再会することを約束し、一人逃亡を図ります。ギデオンらの追っ手が迫り、橋に追い詰められたミンティは、川へと飛び込みます。

溺れ死んだかと思われていたミンティ。しかし彼女は協力者を得てフィラデルフィアへとたどり着き、やがて自らをハリエットと名乗るようになります。そこから彼女の奴隷解放運動への物語が始まるのでした。

橋から川へと飛び込む直前、ハリエットは「自由か死かよ」と言い残します。その言葉が示す通り、その後の彼女は黒人奴隷の尊厳と自由の獲得のために、その人生を捧げることになるのです。

当時のアメリカは奴隷制度に関して北部が反対、南部が賛成という対立構造にあり、それが南北戦争(1861-1865)へとつながっていきます。ハリエットは奴隷解放組織「地下鉄道」の一員として、数百人の黒人奴隷の南部から北部への逃亡を手助けし、約10年の間に19回、アメリカ大陸の南部と北部を往復したといいます。

南北戦争では、アメリカ史上初の女性指揮官として作戦を指揮さえしたハリエット。本作では、その怒涛の生涯が、主演のシンシア・エリヴォの熱演によって再現されています。

主演のエリヴォはロサンゼルス・タイムズのインタビューで、
「黒人が現在の世の中でまだまだ行動に制約を受けたり、立ち入りを禁じられたり、労働機会や賃金に不平等さがある中で、黒人女性が世界を変えたということを示す新しい作品があるのは、とても勇気を与えられることです」
と話しています。

「ハリエット」のキャスト

ハリエット・タブマン役(シンシア・エリヴォ)

 

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イギリス、ロンドン出身。両親はナイジェリア人。舞台女優として「シスター・アクト」や「カラーパープル」など、数々の映画作品の舞台版やテレビドラマに出演し、2018年の「ホテル・エルロワイヤル」で映画デビュー。歌手としても活躍しています。

初主演作となる「ハリエット」では、崖登りや馬上での演技などに加え、夜間の撮影で凍るような冷たさの川を渡るなど、過酷なスタントシーンを体当りで演じました。また19世紀のマリーランドの訛りも忠実に再現するため、方言指導も受けていたとのことです。

そうしたエリヴォの渾身の演技は高く評価され、2020年アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。

ウイリアム・スティル役(レスリー・オドム・Jr.)

 

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アメリカ、ニューヨーク出身。17歳でブロードウェイミュージカルの「レント」(2000)でデビューし、2014年にはジャズシンガーとしてソロアルバムをリリース。

テレビドラマでも活躍し、「CSI」や「グレイズアナトミー」など数々の人気作品に出演。今作では、ハリエットに協力する奴隷解放運動家で作家のウイリアムを演じています。

ギデオン・ブローダス役(ジョー・アルウィン)

 

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イギリス、ノースロンドン出身。ロンドン大学のセントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマ(CSSD)で演技を学んだのち、2016年、「ビリー・リンの永遠の一日」で映画初出演にして初主演を務めています。

映画デビュー後は「女王陛下のお気に入り」(2018)や、「ある少年の告白」(2018)などに出演し、モデルとしても活躍しています。「ハリエット」での役どころは、ハリエットを売り飛ばそうとする奴隷主、ギデオンです。

マリー・ブキャナン役(ジャネール・モネイ)

 

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アメリカ、カンザスシティ出身。幼い頃から教会で歌を学び、歌手になることを夢見ていたといいます。成長してからはニューヨークで演劇を学び、2007年にソロアルバム「Metropolis」をリリースして歌手デビュー。「ムーンライト」(2016)で映画デビューを果たし、以降、歌手活動と共にテレビドラマなどでも活躍しています。

今作ではハリエットを援助する、自由黒人で下宿屋の主人である、マリーを演じています。

「ハリエット」の監督は?

 

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「ハリエット」の監督と脚本を手掛けたのは、女優でもあるケイシー・レモンズというアフリカ系アメリカ人です。セントルイス出身のレモンズは18歳の時にテレビドラマで女優デビューし、映画初出演は「スクールデイズ」(1988)。以降、羊たちの沈黙(1991)や、日本でも人気になったドラマシリーズ「ER」などに出演しています。

監督としてのデビュー作は「プレイヤー/死の祈り」(1997)で、同作品は批評家から高評価を受け、インディペンデント・スピリット賞の新人作品賞を受賞しています。

レモンズ監督は前出のロサンゼルスタイムズのインタビューで、「ハリエット」という映画について
「これは奴隷の物語ではありません。これは自由の物語なのです。」
と語っています。単なる奴隷の伝記ではなく、人間が自由を求め、かつ他の人々を自由へと導く姿を描きたかったのだというレモンズ監督。彼女はハリエットという人物を知るために、脚本を書く前に7か月の期間を調査に費やしたといいます。

「私は彼女という人間を知りたかったのです。そして調べる間に、彼女の姿は実に鮮明になってきました…驚くほど鮮明に。まるで彼女の顔が見えるかのように。彼女の存在がリアルに感じられた時、いい脚本が書けそうだと思いました。」

単なる歴史上の人物ではなく、生きた人間としてのハリエットの生涯を描きたかったというレモンズ監督。その情熱と徹底したプロフェッショナリズム、そしてハリエットという人物へのリスペクトが、多くの人の心を打つ作品を作り上げたと言えるでしょう。

「ハリエット」の主題歌

本作のテーマソング「Stand Up」を歌うのは主演のシンシア・エリヴォ。この歌を歌うにあたり、エリヴォは「ハリエットの声は、多分、私のような声ではない」と感じたと語っています。

エリヴォは「腹の底から声を出してみたらどうだろう?」「頭のてっぺんから声を出してみたらどう響くだろう?」と、彼女の中のハリエットのイメージに相応しい声を探すよう模索を繰り返した結果、「おそらくアルトかメゾソプラノの域だろう」という結論に至ったそうです。

ハリエットとして歌う。そう思いながら歌い上げるエリヴォの声と、自由を求めて立ち上がるための勇気を人々に与える力強い歌詞とが、この作品の世界を完璧に表現しています。その魂の震えるような歌声は全米で喝采を浴び、同曲は2020年のアカデミー賞歌曲賞にノミネートされました。

「ハリエット」の評判は?

既にこの作品を観た海外の人々が、その感想をツイッターで述べています。また、延期を残念がる日本の映画ファンの声も。


(訳:ハリエットは、あなたが一生で観る映画の中でもベストに入る映画のひとつだと思う。観て!)

(訳:子どもたちが午後に映画を観たいと言ったの。ハリエットを観る前に少し彼女に関する資料を読んで、問題を解いておいた方がいいと思ったわ。まだ観たことのない人!素晴らしいキャストたちでできた、最高の映画よ)


(訳:観始めて10分、既にこれは超イカした映画だと俺はわかるぜ)

まとめ

  • 「ハリエット」の日本公開日は2020年6月5日
  • 綿密な調査に裏打ちされた、生きた人間としてのハリエットの描写に注目
  • シンシア・エルヴォの歌うテーマソングは必聴

単なる歴史上の人物の伝記的映画ではない、力強く生き抜いた一人の女性の生涯を描いた大作「ハリエット」。黒人解放運動やアメリカの歴史について詳しくない人でも、観た後にはきっと生きる勇気を得られるような、そんな素晴らしい作品です。今この時代に、是非観ておきたい映画ですね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。