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映画ペインアンドグローリーの公開はいつ?あらすじと感想、キャストなど評判のまとめ

心も身体も衰えたかつての名映画監督。歳を取り、うちひしがれる彼の心を救ったのは彼自身が撮った32年前の作品と、これまで彼が人生で出会ってきた人々との予期せぬ再会でした。

幸せな記憶と、痛みと。一人の男性の追憶が織りなす人生を、観る者全てが追体験するような自伝的映画。そんな、スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル監督の最新作、「ペイン アンド グローリー」。

質の高いヒューマンドラマとして各国の映画祭で数々の賞に輝いたこの名作が、ついに日本でも公開される予定です。

アニー
アニー
スペインが舞台の映画なのね。他の映画で英語で演じてる俳優さんが、母国語のスペイン語で話してるとちょっと新鮮な感じ。
クリス
クリス
アルモドバル監督と言えばアントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスと言われるほど、この三人は数々のスペイン映画で一緒に仕事をしてきたようだね。日本なら三谷幸喜と佐藤浩市と戸田恵子ってところかな。
アニー
アニー
……それ、作風も監督のキャラも唖然とするくらい違うたとえだけど、言わんとすることはわかるからギリOKだわ。
クリス
クリス
辛口ぃ!

「ペイン アンド グローリー」の公開日は?

この作品は2019年3月22日にまずスペインで封切られ、同年5月にカンヌ国際映画祭に出品されています。アメリカでの公開は2019年10月4日でした。

現在のところ、日本での公開は2020年6月19日が予定されています。しかし、新型コロナウイルスの影響により、話題の新作映画の公開延期が相次いでいるのが現状ですので、もしかするとこの作品の公開延期もあり得るかも知れません。

配給元のキノフィルムズは現在のところ、特に公開日程に関する新たなお知らせは出していませんが、今後の予定については注意が必要でしょう。

「ペイン アンド グローリー」のあらすじと見どころ

かつて映画界で名声を得ていたスペインの監督、サルバドール・マロは、脊椎の慢性的な疼痛によって制作意欲を失っていました。

そんなサルバドールのもとに、32年前に彼が撮った映画の上映依頼が舞い込みます。友人スレマに促され、サルバドールはその映画の主演男優、アルベルト・クレスポに会うことを決めます。

アルベルトとサルバドールは32年前、アルベルトのヘロイン使用が原因で喧嘩別れとなり、連絡を絶っていました。

久々に再会するサルバドールとアルベルト。やがてサルバドールはアルベルトがヘロインを吸っているのを見て興味を持ち、頭痛を和らげることができるなら、と自らもヘロインを吸います。

ヘロインの影響でぼんやりとするサルバドール。彼はやがて、子供の頃の思い出が徐々に蘇ってくるのを感じるのでした。

アルモドバル作品の大きな特徴と言われるのは、画面に描き出される、原色を使った色彩美と言われています。本作でもその独特の色彩感覚は健在で、さりげなく映りこんだような家具やセット、そしてそれらに合わせた衣装の色も、緻密な計算がなされた上での配置となっている点は注目です。

映画の中で、サルバドールはかつての恋人であるフェデリコという男性とも再会することになるのですが、同性愛者であることをオープンにしているアルモドバル監督の自伝的映画ですから、この設定も自然なものだと言えるでしょう。ただ、実際には監督は昔の恋人とこのように再会した経験はないそうです。

またアントニオ・バンデラスというと、これまで出演した映画を思うと、セクシーで強い男の役柄のイメージが一般には強いかも知れません。しかし本作では、年齢なりに人生で多くの痛みも喜びも経験してきた、どこにでもいるような初老の男性を静かに演じ、新境地を開拓したと言われています。

アルモドバル作品の最高傑作とも評されるこの作品は、2019年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネートされ、主演のバンデラスが男優賞を、音楽を担当したアルベルト・イグレシアスがサウンドトラック賞を受賞。またLGBTを扱った映画に与えられる「クィア・パルム賞」にもノミネートされました。

「ペイン アンド グローリー」のキャスト

サルバドール・マロ役(アントニオ・バンデラス)

 

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スペイン、マラガ出身。14歳の頃から地元マラガの演劇学校で演技を学び、劇場や路上で劇団の仲間たちとパフォーマンスを行っていました。しかし、内容が当時のスペイン政府の検閲に引っかかり、数回逮捕されたというエピソードがあります。

劇場での芝居をしている時にアルモドバル監督の目に留まり、「セクシリア」(1982)で映画デビュー。以降、「欲望の法則」(1987)「神経衰弱ぎりぎりの女たち」(1988)「アタメ/私を縛って!」(1990)など、これまで約40年に渡って8本のアルモドバル作品に出演しています。

1991年にマドンナの紹介によりハリウッドデビューの道が開かれたバンデラスは、実際は英語がほとんど話せないにも関わらず「マンボ・キング」(1992)でハリウッド映画デビューを果たし、高い評価を受けました。以降、トム・ハンクスと共演した「フィラデルフィア」(1993)でブレイクし、スターダムへと登り詰めました。

今作「ペイン アンド グローリー」出演に関してバンデラスは、Deadlineのインタビューで

「脚本を読んだ時、ストーリーもそうですが、その書き方が印象的でした。とても抑えた内容で、いつものアルモドバル作品とは趣の異なる、ある種の正直さがありました。まるでこれは、彼の告白であるかのような気さえしたのです。」

引用:Deadline

と語っています。

そしてこの映画の撮影は、「今までアルモドバル監督と仕事をした中では一番楽しく、笑いが絶えないものだった」というバンデラス。一時は方向性の違いから監督と距離を置いたと言われるバンデラスですが、この作品によって監督との絆はより強いものになったようです。

ジャシンタ・マロ役(ペネロペ・クルス)

 

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スペイン、マドリード出身。14歳の頃にアルモドバル監督作品「アタメ/私を縛って!」(1990)を観て演技に興味を持ち、オーディションを受けましたがことごとく落ちています。しかし15歳の時にタレント事務所のオーディションを勝ち上がり、テレビドラマなどに出演するようになりました。

映画デビューは「ハモンハモン」(1992)。以降、数々のスペイン映画に出演し、トム・クルーズと共演した「バニラスカイ」(2001)でハリウッドデビュー。

クルスが18歳の時、アルモドバル監督は彼女の才能を見出したと言います。クルスが当時住んでいた実家に監督が電話をかけてきた時は、天にも昇るような思いがしたと彼女はVarietyのインタビューで語っています。

実際、クルスがアルモドバル作品に出演するのは、その5年後の「ライブ・フレッシュ」(1997)。以降、「オール・アバウト・マイマザー」(1999)「ボルベール」(2006)など、高い評価を受けた作品に出演しています。

今作ではサルバドールの母親、ジャシンタの若い頃を演じているクルスは、実際に監督の母親(1999年に死去)に会ったことがあるといいます。インタビューで彼女は監督の母親について以下のように語っています。

「監督のお母さんに会えば、彼の女性に対する憧れと敬意がよく理解できるはずです。それは、彼の姉妹や隣人など、強い女性たちとの関係からきているものだと思います。

そして私が彼のお母さんと時間を過ごした時、その何年もの後にそれが私の人生の中で重要な意味をもつものになるとは知りませんでした。その時間は、この役を理解し、演じるために私には必要なものだったのです。」

引用:Variety

憧れの映画監督から電話を受けた夢のような日から、27年。その監督の母親役を演じることになったクルス。そう思って観ると、本作の彼女の演技もいっそう趣深く感じられるかも知れません。

フェデリコ・デルガド役(レオナルド・スバラーリャ)

 

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アルゼンチン、ブエノスアイレス出身。16歳の時にアルゼンチンのテレビドラマで俳優としてデビューし、主にアルゼンチンのテレビと映画で活躍。有名な映画出演作品は、スペイン映画の「10億分の1の男」(2001)で、スペインの映画賞であるゴヤ賞で最優秀新人男優賞を受賞しています。

今作では、サルバドールのかつての恋人、フェデリコを演じています。

スレマ役(セシリア・ロス)

 

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アルゼンチン、ブエノスアイレス出身。20歳の時にスペインへ移住し、主にスペインのテレビドラマや映画で活躍しています。

ロスもまた、バンデラスやクルスと同様に、アルモドバル作品の常連です。主な出演作品は「セクシリア」(1982)、「オール・アバウト・マイマザー」(1998)、「トーク・トゥー・ハー」(2002)「アイム・ソー・エキサイテッド!」(2013)など多数。

ゴヤ賞で主演女優賞を2回受賞するなど、スペイン映画界では重鎮とも言える存在です。今作では、サルバトールの友人、スレマを演じています。

「ペイン アンド グローリー」の監督は?

 

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ペドロ・アルモドバル監督は、スペインのシウダー・レアル出身。8歳の時、僧侶になることを両親から期待され、スペイン西部のカセレスにある宗教系の寄宿舎に送られて育ちました。当時、学校の近くに映画館があり、そこで彼は映画をよく観ていたということです。

17歳の時、アルモドバルは両親の反対を押し切ってマドリードに移住し、映画監督になることを目指しました。昼は電話会社に勤め、夜は映画の独学に励む毎日を送りながら、彼はやがて1974年に最初の短編映画を製作、そして1980年に長編映画「Pepi, Luci, Bom 」をリリース。それはスペインで人気を博し、4年に渡るロングランとなりました。

それ以降、アルモドバル監督は精力的に作品を発表し、1988年「神経衰弱ぎりぎりの女たち」でベネツィア国際映画祭で脚本賞を受賞。その後もスペインを代表する映画監督として、彼の作品は多数の賞を受賞しています。

今作「ペイン アンド グローリー」では、アルモドバル監督はかつてないほどに主人公に自分を投影することとなり、「眩暈を覚えるほどだった」と語っていますが、一方で、この映画は自分のドキュメンタリーではなく、あくまでフィクションであるとも明言しています。

「映画を作らないのなら自分の人生は無意味だ」
と映画の中で主人公のサルバドールは言います。これは監督自身が感じていることだと言い、そしてGuardianでは次のように語っています。

「私は(映画を撮ることに)依存している。一方で、いつ最後の時が来るだろう?これが私の最後の作品になるのだろうか?という問いはいつも付き纏う。

多分それが、私が人生で映画以外の部分を築けなかった理由だろうね。
もはや、私にとっては映画のみが、自分が自分でいられるものとなっているんだ。」

引用:Guardian

70代に差し掛かったアルモドバル監督の、これまで映画に捧げてきた人生の集大成であるかのような「ペイン アンド グローリー」。あくまでフィクションではありつつも、そこにはクリエイターとしての監督自身の葛藤がふんだんに投影されたものとなっているのは間違いありません。

「ペイン アンド グローリー」の評判は?

既にこの映画を観たファンがその感想をツイッターで述べています。また、予定通りの日本公開を待ち望む人の声も。


(訳:ペイン アンド グローリーを観た。よく出来た作品で、色の使い方が素晴らしい。自分の痛みや病気に屈するのでなく、人生を自分の力でコントロールしていくという、味わいのある物語だよ。

アントニオ・バンデラスが素晴らしい演技を見せてくれる。僕のお気に入りのアルモドバル作品っていうわけじゃないけど、良い作品なことには間違いないよ。)


(訳:「ペイン アンド グローリー」をもう一度観てる。この映画には心奪われた。)


(訳:ついに「ペイン アンド グローリー」を観た。なんて美しく、思慮深く、そして切ない映画なんだろう。最後のシーンにはやられた。)

まとめ

  • 「ペイン アンド グローリー」の日本公開予定は2020年6月19日
  • アルモドバル作品独特の、計算された色彩バランスに満ちた映像に注目
  • 新境地を開いたアントニオ・バンデラスの繊細な演技は必見

人生では、幸せな記憶がある一方で、誰でも苦い後悔と罪の意識に苛まれる瞬間があり、そんな自分を赦しながら歩み続けていくしかない――。
ある程度の年齢を重ねた人ならば、多かれ少なかれそうした思いを感じたことがあるでしょう。

そんな人間の普遍的な心の葛藤を描いたこの作品は、国や人種を超えて人々のそれぞれの記憶に語り掛け、観た者の心を静かに癒していくものとなっています。日本での予定通りの公開を期待したいですね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。