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ロシア映画「アンチグラビティ」の日本公開はいつ?あらすじや見どころ、キャスト情報を紹介

昏睡した人間の脳の中で繰り広げられる、異次元の世界。重力も何も存在しないようなカオスな光景の中で、昏睡状態から目覚めるために戦う人間たちの姿を描いたロシアのSFアクション映画、「アンチグラビティ(原題:The Koma 英題:The Coma)」が、まもなく全国の映画館で上映されます。

ロシアでは初登場第3位という大ヒットとなり、東欧諸国とドイツでは既に公開され話題を集めたこの映画ですが、その情報は、ハリウッド映画と比較するとそれほど多くはありません。ロシア映画が北米で公開されることも多くはないようで、英語圏のメディアでもあまり取り上げられていないようです。しかし!ここでは入手できる限りの情報を集めてご紹介します。

アニー
アニー
ロシアの映画なんですって。
クリス
クリス
……ピロシキ
アニー
アニー
……ボルシチ
クリス
クリス
映画以前に僕らロシアの知識がなさすぎだ。

「アンチグラビティ」の公開日

この作品は、2020年7月3日から全国の映画館で上映されます。日本でロシアの作品が映画館で観られる機会はあまり多くありませんから、是非脚を運んでみてはいかがでしょうか。しかし、特に首都圏はまだまだ新型コロナウイルスに十分注意する必要があります!感染対策は十分にしてお出掛けください!

「アンチグラビティ」のあらすじと見どころ

事故により深刻なダメージを受け、意識を失った若き建築家のビクターは、目覚めると自分が不思議な世界にいることに気付きます。

そこは、昏睡状態にある彼の脳が見せている、記憶を基にした幻影の世界でした。また、そこは彼と同じように、現実世界では昏睡状態にある人々が暮らす脳内の世界でもあるのでした。そして昏睡状態から覚めるまで、その世界から抜け出すことは不可能なのです。

その世界では、現実世界のような物理法則は存在しません。その世界の住人の記憶が組み合わさって構成された、悪夢のような混沌とした風景が広がっているだけです。さらに、死神(リーパー)と呼ばれる怪物がその世界の人間に襲い掛かってくるのです。ビクターは、その世界から脱出するためには、リーパーと戦い続けることを余儀なくされるのでした。

「人間の意識の中で繰り広げられる戦い」というコンセプトが、レオナルド・ディカプリオ主演のハリウッド映画「インセプション」(2010)に似ているということで、この作品について述べている記事には「ロシア版インセプション」という呼び方もちらほら見られます。

ただこの映画がインセプションと異なるのは、登場人物が自らの意志で夢の世界に入ったわけではないということ、そして簡単に現実世界に戻れないということがあるでしょう。さらに、予告編を見ると圧倒されるのが、悪夢のようでありながらもどこか美しい、廃墟のような世界観です。

その幻想的な世界を作り出したのが、ロシア映画界でもトップクラスの映像技術チームであり、また監督のニキータ・アルグノフ自身が特殊効果の世界で長いキャリアを積んだ人物です(詳細は後述)。

英語圏に住む映画ファンたちは、この作品を西欧で観ることが難しいことを残念がり、予告編の動画をYoutubeで観ては「ハリウッド映画よりいい!」「面白そう!観たい!」と絶賛しています。アジアの国で上映されるのは、どうやら日本だけのようですので、この機会を逃す手はないでしょう。

「アンチグラビティ」のキャスト

ビクター役(ライナル・ムハメトフ)

 

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ロシア、タタールスタン共和国出身。主な映画出演作は、ロシアの歴史冒険小説が原作の「The Three Musketeers(原題:tri mushketera)」(2013)、SFアクション映画「Attraction(原題:Prityazhenie)」(2017)、「Icaria(原題:Ikariya)」(公開日未定)などがあります。また、ロシアのテレビシリーズ「エカテリーナ(Екатерина)」(2014-2019)にも出演しています。

ファントム役(アントン・パンプーシュニー)

 

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カザフスタン、アスタナ出身。2004年から舞台俳優としてモスクワの劇場でキャリアをスタートさせ、2009年「Minnesota」で映画デビュー。

主な映画出演作は、中世ロシアの英雄、アレクサンドル・ネフスキーの生涯を映画化した歴史アクション映画「Alexander(原題: Alexander. Nevskaya bitva)」(2008)、ファンタジーコメディ「Realnaya skazka」(2011)、ヒーローアクション映画「Gurdians(原題:Zashchitniki)」(2017)などがあります。ウクライナやドイツの映画界でも活躍しています。

フライ役(ルボフ・アクショノーヴァ)

 

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ロシア、モスクワ出身。主な映画出演作は、現代モスクワを舞台にした映画「Moscow Never Sleeps」(2015)、スリラー映画「Motherland」(2015)
「Byvshie」(2017)、恋愛コメディ映画「Have Fun, Vasya!(原題:Gulyay, Vasya!)」(2017)、アントニオ・バンデラスと共演したアクションファンタジー映画「Beyond the Edge」(2018)スリラーコメディ映画「Russian Psycho」(2019)アクション映画「Major Grom: Plague Doctor 」(2021年リリース予定)などです。

モスクワに暮らす人々の人間模様を描いた「Moscow Never Sleeps」はアイルランドとの合作であり、欧米でも放映され、ロシア映画の中でも高い評価を受けた作品です。ルボフはその中で、機能不全家族の中で血のつながらない妹との関係に悩む10代の少女を演じて、存在感を示しました。Amazonプライムの「ジャック・ライアン」シリーズのセカンドシーズンにも出演しているようで、彼女はロシアで最も人気のある女優の一人と言われています。

アストロノム役(ミロシュ・ビコヴィッチ)

 

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セルビア、ベルグラード出身。主な映画出演作は、帝政ロシア時代の歴史映画「Sunstroke」(2014 )、「Dukhless 2」(2015)、セルビアのスポーツドラマ映画「We Will Be the World Champions」(2015)、アクショノーヴァと共に出演したアクションファンタジー映画「Beyond the Edge」(2018)など多数。

また2018年にリリースされたセルビアの犯罪ドラマ映画「South Wind」は、封切り後1週間でおよそ15万人を動員し、セルビアの映画界において過去15年間で最高の売り上げを出すという、驚異的なヒット作となりました。この結果に対して、主演を務めたビコヴィッチは

「若手の俳優や子供たちが映画を作ることに意義を見出し、企業や多くの人々に映画界に投資しようというモチベーションを与えることができればいいと思う」

と、セルビア映画界の発展を願うコメントを出しています。(引用:Film New Europe)間違いなく、セルビアを代表する俳優の一人と言えるでしょう。

「アンチグラビティ」の監督

 

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この映画の監督は、ニキータ・アルグノフ。ロシア、マガダン出身。映画監督としては本作がデビュー作となります。

シベリアの東にある小さな街で生まれたアルグノフは、青年期にCGに興味を持ちました。しかしロシアにはCG技術を学べる教育機関がなかったことから、彼はインターネットで探したチュートリアルを使って独学で勉強を始めました。そしてモスクワに移り、CGを手掛けるスタジオで働き始めたそうです。

その後、いくつかのスタジオでVFX(Visual Effects、視覚効果)スーパーバイザーとして勤務した後、映画の視覚効果の分野でキャリアを積んだアルグノフは、2013年に自分のスタジオを作りました。

アルグノフがこれまで携わった映画は浅野忠信主演の「モンゴル(Mongol)」(2007)、13世紀のモンゴル軍とキエフ大公国との戦いを描いた歴史アクション映画「Furious(Legend of Kolovrat) 」(2017)、SFファンタジー映画「A Rough Draft」(2018)など多数あります。中でも彼のスタジオが手掛けた「Furious」は北米や西欧諸国でも上映され、その視覚効果は高い評価を受けました。

脚本も手掛け、初監督作品となった本作についてアルグノフは次のように述べています。

「この映画で心掛けているのは、視覚的な部分に置いて革新的であり、しかし物語としても洗練され、優れたものにするということです。良い作品にするために多大な労力をつぎ込みました。私たちの狙い通りに仕上がって欲しいし、観た人が気に入ってくれたらいいなと思います。」

引用:Action Movie Database

ちなみに、上記のインタビューが行われたのは2016年のことで、公開は2018年の予定でした。公開までに4年もかかっていることになりますが、その理由は特に明らかにされていません。

また、今後のロシアのVFXの分野に関してどのような展望を持っているか?という質問に対しては、アルグノフは次のように話しています。

「正直予想がつきませんが、ひとつ言えるのは、私たちは経済的には貧弱ながら、クリエイティブであり、比較的少ない予算で見栄えの良い映画を作れるということです。

ただ一方で、ロシアにはこの分野で世界で挑戦できる人材がそれほど多くいません。この国では、国全体で年に3本か4本の長編映画を作るのが精一杯です。この業界を発展させるには、国内の問題をまずクリアする必要があると思います。」

引用:Action Movie Database

ハリウッド映画と比較すれば、まだまだ市場の小さいロシア映画界。しかし、国際的に発表される作品の中には大変優れた映画もあることは事実です。本作「アンチグラビティ」で、初めてロシア映画に触れるという若い世代の人々も少なくないでしょう。この映画をきっかけに、ロシア映画の認知度が上がることになれば、本作の製作陣にとっても大きな成果となることは間違いありません。

ちなみに、ロシア系の血を引く俳優は、ハリウッドにも多数います。レオナルド・ディカプリオは祖母がロシア人、シルベスター・スタローンも祖父母がロシア人、ヘレン・ミレンは父がロシア人、ミラ・ジョヴォヴィッチは母がロシア人で父がセルビア人です。いつの日か、ロシア出身のスターが国際的に活躍する日が来ることもあるかも知れません。

「アンチグラビティ」の前評判

この映画のリリースを心待ちにする映画ファンたちが、その期待をツイッターで呟いています。中にはロシア映画のファンだという人もちらほら。

まとめ

  • 映画「アンチグラビティ」は2020年7月3日から全国の映画館で上映予定
  • ロシア映画界の最新鋭のVFX技術を見ることができる
  • 幻想的で退廃的な夢の中の世界の描写に注目

製作完了から4年、満を持しての公開となる「アンチグラビティ」。ハリウッド映画とは一味違う、ロシア映画の独特の雰囲気を味わえる作品です。繰り返しますが、アジアで観られるのは日本だけです(2020年6月現在)!ぜひこの機会にロシア映画の世界に触れてみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。